リビア

ニュースで毎日リビア情勢が大きくとりあげられています。
今日のニュースでは、リビアの情勢悪化で日本ではガソリンの高騰や石油関連商品も値上げせざるを得なくなったと報じていました。
リビアのニュースが伝えられるようになってから、日本にも何か影響がでてくるのかなーとずっと気にかかっていました。
今日のニュースで何年か前のことが急に甦ってきました。
数年前、麻布の国際文化会館で国際的なシンポジウムがあり参加したのですが、参加者のほとんどは大学教授や研究者、外交官の方たちでした。
堅苦しいお客さまばかりなので、私は休憩時間に会場を抜け出し会場に隣接している日本庭園を散歩していました。
あとから一人の外国人の方がやはり庭園に出てこられました。
名刺を差し出しながら流暢な日本語で「私はリビアの二等書記官です」と挨拶されたのです。
緊張しながらも名刺を受け取り、日本庭園のことやリビアのことなどを話題にして会話を弾ませていきました。
リビアがどこにあるのか、どういう国なのか日本とどういう関係があるのかなどまるっきり無知でしたから、恥ずかしながらも次々と質問していきました。
彼が日本庭園はとても美しいですねと賞賛されたので、わたしは日本人としてとても誇らしい気分になって得意気な気持ちになっていきました。
リビアは土や砂ばかりで地上には日本のような美しい緑の木や花はありません。地上には何もないので景色は殺風景です。でも地下にはたくさんの石油があります。日本は地上にはたくさんのものがあってきれいだけど、地下には何の資源もないですね。日本ではたくさん石油を使うけど地下に石油はないですね」と指摘するように話してくれたのです。
この話から互いの国が対照的な国なんだなと初めて理解できました。
彼の話し方には自国の力を誇示するような何か意味あり気な雰囲気を感じました。
ぼんやりとしていた私でしたが、彼の様子から、瞬時にいろいろなことが判断できてきました。
リビアには石油がたくさんあって、日本には何もない。何もない日本なのに石油は大量に消費している。石油産出国が石油を供給してくれなかったら消費国はたちまち困窮してしまう。
石油のある国といい関係を築いていかなかったら日本の国は大変なことになる。
頭の中で単純な図式ができあがりました。
急に身震いがして気分が重くなってきました。
石油といったらサウジアラビアとかイランなどのニュースばかり流れてくるのでリビアとも関係があるとは全然気がつかなかったのです。
ここで、日本はリビアとも大切な関係があるんだろうなと想像できました。
国際関係を大事にするというのはこういうことなんだなーとつくづく感じた一場面でした。
そのあと彼は笑顔で大使館に遊びにきてくださいと誘ってくれました。
チャンスがあったら伺いたかったけど、連絡は英語だけだというのでなかなか気楽には訪ねる気にはなれずに今日まできました。
あのときの彼のことばが今日のニュースと繋がってきてやっと事の深刻さを感じてきました。