「カレル ゼマン展」


「カレル ゼマン展」の催しを知り、炎天下のなか汗をふきふきやっとのことで渋谷の松涛美術館へ。http://www.shoto-museum.jp/index.html
カレル ゼマン(1910-89年)http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%BC%E3%83%9E%E3%83%B3は世界的に評価されるチェコ・アニメーションの巨匠です。

チェコの旅から帰ったばかりの娘の話では、チェコではとても人形劇が盛んで大人向けの人形劇が毎日のように催されているということです。
人形、マリオネットやかわいい小物雑貨類を売ってる店がたくさんあり街を歩いてるだけで楽しく、現地では、人形劇「ドン ジョバンニ」を観てきたそうで、とても楽しそうな話につられ私もとても興味がわいてきました。
チェコのことで頭がいっぱいになってるところへ、チェコのアニメーション作家の「カレル ゼマン展」の文字が目に飛び込んできました。
この暑さで外出がおっくうになっていたのですが、チェコのことをちょっとでも体験してみたくなり、なんとしても足を運んでみようと思い立ち松涛美術館に向かったのです。
アニーメーション映画が上映されてるということだったのですが、最初に目にしたのは動画ではなく「ひょっこりひょうたん島」にでてくるような人形劇が上映されていました。とてもユーモラスで子どもだけでなく社会風刺にもなってるので大人も充分楽しめるものでした。
映画祭で入賞した作品で、少女とおもちゃの人形が演技する映画などは、混合技法がとられていて、今見てもちっとも古く感じないものでした。

他には撮影に使われた人形や原画、制作過程の資料などの展示があります。

チェコで人形劇が盛んな理由は悲劇の歴史にあるのだそうです。
18世紀末、他国に支配され抑圧されてきたチェコは、母国語を話すのを禁止されたそうですが、人形劇の中では唯一話すことができたのです。
人形劇があったから、チェコ語は滅びることなく生き延びてきたのだそうです。
たまたま先日の夕刊で作家の久田恵さんが人形劇をやっているというインタビュー記事のなかで、チェコの人形劇の歴史について「(チェコ語で上演されてた)人形劇を通して、庶民が権力批判を続けてきたんです。革命的でもあります」と語っていました。

カレル ゼマンは、自身の作品を通して、「子どもたちの想像力を豊かにし、世界を子どもたちの笑顔で満たしたい」と語っていたそうです。

娘の旅から、チェコの人形劇に関心をもちそこから、思いがけなくもチェコやヨーロッパの歴史を知ることになり、とってもいいお土産をもらった気分です。
帰途、松涛公園にちょっと立ち寄ってきました。高級住宅地と言われているだけあってこの界隈は落ち着いたたたずまいでほんとうに素敵なところで散歩してるのが愉しくなります。