塩野七生さん

イタリア在住の塩野七生さんの基調講演が聞けるとのことで、昨日は有楽町マリオンでの国際交流基金設立40周年の記念シンポジウムに行ってきました。
今朝の朝日新聞朝刊にもこの記事が載ってました。
かなり昔、友人がイタリアに旅したとき、街角で塩野さんらしき方をお見かけしたので、「塩野七生さんじゃありませんか?」と聞いたらご本人だったそうで、友人は大得意になってその話しを聞かせてくれたんです!

パンフレットに塩野さんの肩書きが「小説家」として紹介されてたので、「小説家」でなく「作家」ですからとおっしゃたそうな。
塩野さんは、ヨーロッパのいくつかの国に住んで執筆活動してたのですが、文献などを調べたりするので博物館や国際交流基金のヨーロッパ支所を利用されてるそうです。
それらを通して感じたことを述べられました。
外国との交流は、政治経済で交流していってるが、なかなか宗教の問題は一筋縄ではいかないものだ。
文化交流はその点ラクだ。好きか嫌いかだけで、壁がない。
国際交流基金に提案もされました。
職員の半分を女性にし、20〜30代の若者を登用してもらいたい。各国の支所に研究員を置く。
外国人と会話してると、皮肉や嫌味など言われることがあるが、そういうときにうまくかわせられるのは女性なんです。
若い人たちには、早くから経験を積ませる事が大事。
異分子との交流で新らしいものが生まれる。こういうことが大企業病の突破口になる。

塩野さんの基調講演のあと、第一セッション、第二セッションとの2部に分けてシンポジウムが行われました。
第一では、平田オリザさんさんがモデレーターをつとめ、「かものはしプロジェクト」http://www.kamonohashi-project.net/代表の村田早耶香さん、建築家の藤本壮介さん、タイの脚本家Prabda Yoon さん

第二では慶大の渡辺靖教授 ハーバードの教授でライシャワー日本研究所所長、 オランダの国際関係機関研究所研究部長
  韓国のTVニュースキャスター 女優、客員教授を務めている パクジョンスクさん(「宮廷女官チャングムの誓い」  の皇后役)

ハーバード大では、昨年の3.11の数日後にこの東日本大震災についてのデジタルアーカイブhttp://beta.jdarchive.org/ja/homeを立ち上げたそうです。
震災の記録を残すことにもなり、情報を探してる人たちがすぐに探せるように、、
NHK、東北大などいろいろな組織や個人でサイトをたちあげているがばらばらです。
それらをまとめたものです。
あちこちで、サイトをたちあげても、時間がたつと閉鎖したり移転したりしてわからなくなるので、そのようなことがないように常にチェックしてしっかりとしたアーカイブにして残す努力をしてるそうです。
このような行動がすぐにでてくるのも、長年の文化交流があっていい信頼関係があればこそ。

島の問題が起きても、政治や経済とは違うところで人と人との交流があり対話ができれば問題はよくなっていく。
外国との交流に力を入れることよりも目先の問題の「年金問題」が大切だと批判されることがあり、結果をすぐに求められたりされてるが、結果はすぐにでてくるものではない。
ソフトパワー(文化交流)で国益を高めていく。
長い目でみていくことが大切です。

3時間半の濃密な長い討論のおおまかな話でした。