一休さん

滞在してたDくんが、ある日憤慨して帰宅しました。
わけを聞いてみたら、彼は高級家具店に行って店内の商品を見てたのだそうですが、店員は他の家族連れなどには相手をしてるのに、彼には何も話しかけてもこず、無視してるようだったそうです。
彼は日本語にも自信がないので自分から話しかけるのも躊躇してたのです。でもどうしてもいろいろ聞きたいことがあったので、思い切って店員さんに声をかけたそうです。
説明を聞いたあとショールームの案内状を郵送してくれることになり名刺を出したら、突然店員さんは平身低頭の態度になったそうです。
Dくんは若く見えるので学生くらいに見えたかも知れません。
学生がここの家具を買うわけがないと思って店員さんは甘く見てたのでしょう。
でも彼の名刺で肩書きを見たら急に上客扱いになったのです!
上客扱いされたから喜んだのかと思ったら、彼は肩書きで人の態度が変わったということに腹を立てたのです。
彼のこのことから思い出した話があります。
実篤の「一休さん」という子どもむけの本だと思ったのですが、あるとき一休さんが、ぼろぼろの法衣をまとって托鉢に行ったら、誰もお布施をしてくれなかったそうです。
また別の日に立派な法衣で托鉢に回ったら、今度はお布施をくださったそうです。
一休さんは、この布施は私へのものではなく、この法衣に施したものなんだといって、怒ってその立派な法衣をその家の玄関先で脱ぎ捨てたという話です。