金原亭伯楽さん


荒川区のお寺「泊船軒」での今月の集いの講師は、落語家金原亭伯楽(きんげんていはくらく)師匠でした。http://www.rakugo-kyokai.or.jp/Profiles.aspx?code=31
ご自身がたどってきた人生、落語界の裏話、日本の将来や政治についての提言など、落語を語ってないのにいつのまにか落語になってるのです。
さすが噺家さん!いい話が聞けてとっても充実した一日になりました。
法政の教授になった優秀な兄の影響で、自身も法学部に入り法曹界をめざしていたそうですが、途中であわないことを感じて断念したのだそうです。
師匠に弟子入りしてから、師匠に言われたことばは、「落語なんて世の中で何の役にもたたないもので、なくてもいいものなんだ。それで飯食っていこうっていうにはよっぽど努力してお客に喜んでもらえるように芸を磨かなくちゃだめだ。掃除はよくきれいにしろよ。誰がどこから見てもきれいだなって思われるまでしなくちゃだめだ。芸もいっしょだ。」
TVでは料理番組のアシスタントをやったり、たくさんの番組にでてたそうですが、ちょっとおもしろい体験としては、JALからの要請で世界のあちこちで働いている日本人たちを慰問して落語を聞かせてたのだそうです。
パリではホテルに800人余りの客が集まり、油田開発に携わっている日本人がたくさんいるナイジェリアやアルジェリアでも慰問落語をされてたそうです。
海外にずっと住んでるとやはり日本のことばに飢えてきてるので、日本のことばを語る「落語」は人気だそうで、まるで砂漠のなかのオアシスのようなものだったかもしれませんね。
太鼓持ち」については、客が黒と言ったら黒、白といったら白と、逆らわずに合わせなくちゃいけない、とのことでしたがなかなか奥深いしごとだなって思いました。今まで太鼓持ちの芸しか知らなかった私には新しい発見でした。
自分の考えと反対でもなんでも「肯定」しなくてはいけないのですから、いろいろ頭を巡らさなければなりません。
あとで感想を述べるとき、私は師匠に「太鼓持ちというのは人生の修行にもなり豊かな発想にも結びつきますねー」と話しましたら、頷いてくれました。
落語界では、真打昇進を実力でなく、年数で昇進させるというように制度もいろいろと変わってきて分裂騒動などもあったそうですが、そういう裏話を小説にして『小説落語協団騒動記』を著しています。
http://www.amazon.co.jp/%E5%B0%8F%E8%AA%AC%E3%83%BB%E8%90%BD%E8%AA%9E%E5%8D%94%E5%9B%A3%E9%A8%92%E5%8B%95%E8%A8%98-%E9%87%91%E5%8E%9F%E4%BA%AD-%E4%BC%AF%E6%A5%BD/dp/4776801221
他にも著書も何冊か書いてるのです。
落語家さんで小説を書いてるなんてとても多才な方ですねー。