一期一会

翌朝、いよいよ18切符を使っての旅の始まりです。
最近雨の被害で列車が不通になったりしてたので、はっきり予定はたてられなかったのです。天気次第で行路を自由に変えるつもりでふらりと旅にでてきたのです。
函館の駅で朝列車の不通がないか確かめて、今日は小樽に行くことに。
朝8時過ぎ〜午後3時半までの長い列車の旅です。
隣席の客たちとたのしい会話をしながらなのでちっとも退屈しません。
しばらくしたら、「ここは大沼http://www.onuma-guide.com/ですよ。遠くには駒ケ岳が見えてすてきでしょ!」
と81歳だという女性が説明してくれます。雄大な景色です。
また別の客は、ここはいいところだから下りて観光して行きなさいよと薦めてくれます。
自転車をかついだ青年は、ここで下りて自転車で回るんだと言って降りて行きました。
今度はわたしもここにぜひ降りてみたいです。

昼近くになって長万部で乗り換えになりました。ホームで待ってるとき、お客さんがここのかにめし弁当は有名なんですよ。ぜひにと薦めてくれたので、駅の外にある駅弁屋さんに買いに行ってきました。見回すとけっこうみなさんこのお弁当を持ったまま乗り込んできます。

小樽までまた新しいお客さんとの出会いです。
札幌在住の70代の女性です。
最近、友人たちと東京観光に行ってきたという話しやら日々の出来ごとなどを話してたのですが、私の一人旅の話しを聞いて、まるで人生はじめて私のような人間に出会ったというような感じで目を丸くしていろいろな質問してきます。
一人旅なんて考えたこともなければ、18切符なんていうものの存在も知らなかったそうです。もう下車が近づいたころには、「来年は絶対私もその18切符で一人旅にいくぞー」ということにまでなったんですよ!!
まるで私は18切符の営業マンみたいですね〜
長い長〜い列車の旅も終わりいよいよ小樽に到着です。
駅前からぶらぶら歩きながら今夜の宿はどこにしようかなとホテルの名をみながら
運河に向かって行きました。
地元の方たちにも尋ねていい宿を決定!
荷物を置いて身軽になって有名な運河沿いのストリートに向かいました。
全部、アメリカに買い付けに行ってるという古着屋さんもありました。
東京からわざわざ買いに来る客もいるそうです。
港町ということで、ここも倉庫を利用したお店がたくさんあります。
とっても素敵な街ですね。ここも!!!
前日、市電のなかで出会った方が小樽に行ったらぜひいってみなさいよといわれた
洋菓子屋さんを目指しました。
観光案内所で聞いたら閉店時間が早いから急いでくださいとのこと。
ストリートの一番遠くにあります。
店が閉じないうちにたどり着くのが大変です。
運河のストリートにはいいお店がたくさんあってみな寄ってみたいのに、もう時間が迫っています。
やっとのことで到着。
ルタオhttp://www.public-otaru.info/category/food-category/sweet/letao-ichiran/letao-ichiran.htmというお店です。
前日会ったお客さんが「おたる」を逆に言ったら「ルタオ」だから覚えやすいでしょとおしえてくれたのです。
なんとか滑り込みセーフというところで店内に入り、2階のカフェでケーキセットを注文しました。
大きなお店です。近くにも何店舗もあるそうです。
運ばれてきたケーキは数種類なんですが、とっても素敵なデザインです。
美味しすぎ!
ケーキを運んできてくれた方が、おもてなしの心をもったあったかい雰囲気だったので、ついついまたおしゃべりに花が咲いてしまって、、、、、、、
あとで知ったのですが、この「ルタオ」さんは有名店だったんですね。
ボリュームがあったので、もう夕飯はいらないぐらいに思ってたのですが、ストリートを歩いてたら、函館で教えてもらった寿司屋さんがあったので、せっっかくだからとまた立ち寄ることに。

夜の運河も風情があります。


翌朝も早朝散歩で歩いてたら、散歩中の方と一緒にウオーキングすることにして
市内の名所をおしえてもらいました。
廃線になった線路がこんなふうに残ってるのも良い風景です。
時々ここでイベントもあるようです。

帰路につくために8時過ぎには列車に乗り込みました。来た時と同じ路線で青森まで。18切符は各駅停車の列車しか乗れないことになってるのですが、青函トンネルの中だけは、特急しか走ってないので、特別に特急の普通席に乗せてもらえるのです。
自転車をもって乗ってる人、関東からの一人旅、飛行機と併用して18切符の旅してる人、他にも7日間連続関東と北海道乗り放題の格安チケットの人、、、
乗り換えても乗り換えてもまた会いましたね〜って感じでだんだん親近感が湧いてきます。列車も一両だけなんです。
学生から会社員のような若い男性たちの一人旅の人とリタイアしたような男性の一人旅の方がだいたいおなじくらいの割合で乗り込んでるように見えました。
私のような年代の女の一人旅はやはり珍しかったような、、、、
長万部で2時間も待ち時間があるんですよ〜
昼食とってもまだまだ時間があります。ぶらぶらと歩いていったら海が見えました。山の中をずっと走ってきたので山の中だと思ってました!
待合室のベンチで若い男性に声をかけ話しだしたら、なんと彼は私の家の近所といっていいくらいのところが実家でした。
北大生で夏休みで実家に帰るところだったのです。びっくり!!
それからは一緒に行動するようになり乗り継ぎをしながら、会話してるうちに隣席の男性も話しの輪に入ってきました。
彼は妻を亡くし悲嘆にくれて家に引きこもり状態だったところ、この18切符の旅を勧められたくさん切符を買い一夏旅してるのだそうです。
白地図を用意して日本全国の全路線を生涯かけて隅々乗りつぶす計画だそうです。
最後の特急に乗り換えるところで、またここまで一緒だーと、朝から気になってた欧米人の男性に日本語で声かけたら、彼は秋田の大学にいる留学生でスイス人でした。
彼も18切符の旅でほとんど1ヶ月間旅してて今回は北海道から東京の友人のところへ行くところでした。
特急に乗ったところで私達は4人がけになって行くことになりました。
彼は高校生から日本に留学してるので、流暢に日本語をしゃべるし、日本中移動してて友人も多いので日本通で、日本人の私たちが彼にいろいろおしえてもらってばかりでした!
彼は小樽から私とずっと同じ車両でそばにいたのですが、誰とも話さず、誰も声もかけずにいたのです。
この時点でわかったのは、実はずっと一人で退屈してて誰かとしゃべりたかったんだなということでした。
実は私が学生さんと話してたのを、彼はそばでみな聞いてたんだそうです(汗)!
そして、私が知り合った学生さんや、おじさんも、みな彼のような人に関心を持ってたけど話すきっかけを作れなかったのでした。
ここでいっきにブレイクした感じで4人で勢い良くおしゃべりが始まりました。
スイス人の彼の留学先の秋田の大学の話しや、スイスの学校と日本の違い、スイスの山がいかにいいかとか、ケニヤに行ってきたという話しまで、、、彼からたっぷりいい話を聞かせてもらいました。
そこへ突然車内放送で「青函トンネルを爆破させるという事件が発生したので、点検のためにしばらく停車します」とのことで私たちも大問題発生です。
スイス人の彼は青森から夜行バスを予約してるのに、このままでは間に合わなくなりそうです。
みんなで、彼のバス会社のことを調べたり連絡してあげたり、、今夜泊まるところはどうするかと相談にのってあげたり、、、こんなことをやってたらほぼ2時間たってました。
私たちは特別なはからいで青森駅まで特急に乗せてもらってやっと到着しました。
4人で青森駅前の牛丼やさんで夕食にし、今日はみなさんと出会えていい旅ができました、ありがとう、と名残り惜しかったけどそれぞれの場所に散っていきました。
旅に行って土地の観光を楽しむことも目的ですが、人との出会いもまたたのしみの一つです。家にいたら絶対出会わない人と出会うのですから。
今回も実にたくさんの人と出会ってたくさんお話ししてほんとうにいい旅でした。